公証役場って市役所みたいなもの?
違います。お恥ずかしながら、私はそう思っていました(汗)公証役場は法務省の管轄する官公庁になります。ただ、通常のオフィスビルに入っているので国の機関とは知りませんでした。国の機関って霞が関が所在地ってイメージですよね。
公証役場は全国に300か所もある
公証役場は全国に300か所以上あります。そのうち、15%は東京に集中しているそうです。ですのでインターネットで「公証役場+自分の住んでいる住所」で検索すると最寄りの公証役場が検索できます。公証役場も市役所同様に役所なので開庁時間(窓口を開けている時間)は平日9時から17時頃までという所が一般的です。公証役場は官公庁ですが、独立採算制をとっています。公証役場の業務による収益でオフィスの賃料や人件費を払っています。市役所とは違うので、公証役場を利用するには費用がかかります。費用は公証役場や公正証書に記載する内容(財産など)によって変わるようですが、だいたい数万円と見ておけば良さそうです。
公証人は選ばれた人で日本全国で500人
公証役場には公証人と呼ばれる裁判官や検察官のように法律事務の経験を積んだ人の中から法務大臣が任命された人が公証人になります。ちなみに2023年6月現在、約500名の公証人が在職されており、年間1名が任命されるかされないかの狭き門となっているそうです。そのため、公証人の平均年収は高く、3000万円を超える方もいるそうです!?公証人は公証実務と呼ばれる主に以下の3つの実務を行っています。
公証人の公証実務
①公正証書の作成(遺言公正証書、任意後見契約公正証書、遺産分割協議公正証書、離婚公正証書)
②私署証書(※)や会社等の定款の認証付与
③私署証書(※)に対する確定日付の付与
※私署証書とは作成者の署名(署名押印)または記名押印のある私文書。 なお、私文書とは公文書(省庁その他の公務所または公務員が職務上作成した文書)以外の個人や会社が作成した文書等のこと。
公正証書ってなに?
公証人が個人や法人からの依頼に基づき作成する文書で、公文書として高い信頼力、証明力を持ちます。
遺言公正証書
遺言公正証書を作成すると相続が発生した場合、遺言公正証書に書かれている内容に従って、不動産の登記名義を移転できたり、銀行の預金口座の解約ができます。公正証書ではなく、自筆証書遺言の時は、家庭裁判所での検認手続きが必要になります。また、遺言書の有効性を争ったり、被相続人が言った言わないなどいわゆる争続になる可能性もありますが、公証役場で作成した遺言公正証書は公証人が被相続人の意思を確認して作成したものであり、遺言書の有効性や被相続人の言った言わないといった争いになるといった可能性はかなり低くなります。
任氏後見契約公正証書
将来的にご自身が認知症になり、判断能力が落ちたときに備えて、所有財産の管理と日常生活において必要になる契約の管理を自分で指定した者(後見人)に任せることを当事者の間で契約しておく契約のことでこれを任意後見契約と言います。任意後見契約は、任意後見契約に関する法律第三条で「任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない」と定められており、公正証書を利用して契約することが必要になります。
遺産分割協議公正証書
遺産分割協議書も公証役場で公正証書にすることができます。遺産分割協議書を公正証書化するメリットはずばり「将来のトラブル防止のため」、つまり転ばぬ先の杖、というものです。相続人同士の仲があまり良くなかったり、疎遠だったり、遺産分割協議に親族以外の受遺者が入っていたりするときは、遺産分割協議書の蒸し返しや遺産分割協議書通りの財産分与が行われない事態に陥ることを防ぐためには遺産分割協議公正証書にすることをお勧めします。
離婚公正証書
離婚協議書で定める離婚の際に支払われる養育費などは、「毎月きめられた時期に決められた金額を支払ってもらう」ことを約束することになります。このような場合は、離婚公正証書いわゆる「執行証書」を作成しておくことが大事になります。つまり、執行証書が作成されていれば、相手方が義務を履行しない(養育費をきちんと支払わない)という場合には、裁判所の手続(民事訴訟・支払督促)を経ることなく、公証人に執行文を付与してもらうことで、即時に相手方の給料などを差し押さえることが可能となるからです。養育費や慰謝料など金銭に絡む話は口頭でも相手がちゃんと履行してくれれば問題は起きませんが、離婚協議書のような形で残しておいた方がより安心です。それをさらに執行力を持つ離婚公正証書で残しておくとさらに安心ということでしょうか。
つまり、「口頭<離婚協議書<離婚公正証書」ですね。
会社の定款認証
定款は、会社を設立する際に、発起人全員で定める会社の運営に関する必要事項を明示した書類です。
定款には会社の商号、所在地、発起人や事業内容など会社の指針となるさまざまな規則を記載します。 なお、定款の認証が必要な法人形態は「株式会社」「一般社団法人」「一般財団法人」です。合同会社・合資会社・合名会社では定款の認証手続きが不要です。
私署証書の確定日付の付与
確定日付とは、変更のできない確定した日付のことで、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。 公証役場で付与される確定日付とは、公証人が私書証書に日付のある印章(確定日付印)を押捺した場合のその日付をいいます。 従いまして、権利義務や事実証明に関する書面(私文書)について、確定日付があることで、紛争時に有効な証拠となり、紛失や改ざんの心配がありませんので、将来的な紛争予防という効果が期待できます。