不動産の共有は百害あって一利なし

家族信託

不動産の共有とは?

不動産の共有とは、文字通り、ひとつの土地を複数人で所有することです。持ち分所有という言い方をしたりもします。例えば、3人でひとつのA土地を所有した場合、A土地が90㎡あったとして、3人で所有するとは30㎡ずつ持つという意味ではありません。持ち分としては3分の1ずつ持つということです。従って一人で全部を使っても構いません。例えば、月に10日間使うことでもできますし、一日24時間を8時間ずつ所有することもできます。不動産の所有とはこういう概念になります。

なぜ、不動産の共有をしてはいけないのか?

自筆証書遺言を書く前に」で不動産の共有は百害あって一利なしと書きました。なぜでしょうか?
①不動産の処分して現金化したくても、共有者全員の同意が必要となる
②共有者の中に精神疾患者や認知症の方がいると、そもそも売却できなくなる
③代襲相続でねずみ算的に相続人が増えていって複雑化する

①不動産の処分(売却)して現金化したくても、不動産共有者全員の同意が必要になる

・不動産の処分(売却)して現金化したくても、不動産共有者全員の同意が必要です。この全員の同意というのが曲者です。具体的には売主である全員の署名や実印、そして印鑑証明が必要です。遠方に住んでいたりすると更に大変です。多数決ではなく、全員一致が必要になります。仕事でも学校でも全員一致って難しいですよね?それと同じです。

②不動産共有者の中に精神疾患者や認知症の方がいると、そもそも不動産売却そのものができなくなる。

・不動産共有者の中に精神疾患者や認知症の方がいると、そもそも不動産売却そのものができなくなります。精神疾患者や認知症の方は法律上、契約等などができない方となっているため、もし仮に契約できても、それは無効となってしまいます。

③代襲相続でねずみ算的に相続人が増えてさらに複雑化する


・一番厄介なのが、代襲相続です。ねずみ算的に相続人が増えていきます。具体的に言うと不動産持分共有者が亡くなると、その妻や子供がその権利を引き継ぎます。例えば、もともと不動産の持分を共有したAさんが3分の1を持っていたとします。そのAさんが亡くなって妻1人、子供2人が相続した時、妻の持分は6分の1、子供持分はそれぞれ9分の1ずつとなります。妻、子供ならまだ良い方で、それが親や兄弟に相続されるとかなり遠い親戚になるため、相当複雑になってしまいます。

まとめ 不動産の共有はしてはいけない

とにかく不動産の共有をしてはいけません。相続人が苦労します。不動産の共有は「百害あって一利なし」。不動産は誰か一人に相続させることを遺言書には書きましょう。