【家族信託】使いづらい成年後見人制度

家族信託

成年後見人制度ってなに?

行政書士による成年後見支援団体のコスモス成年後見サポートセンターのホームページには以下の通り、書かれています。
成年後見制度は、
・認知症の方
・知的障害のある方 など判断能力が不十分な方をサポートする制度です。

判断する能力が低下するとサービスや施設を利用するための契約など法律行為や財産管理など自分で行うことが困難になることがあります。このような方々に代わり、契約を行ったり、財産を管理するなどサポートするためにこの制度はできました。

利用者が伸びない成年後見人制度

次のグラフは成年後見人の利用率です。例えば認知症を発症してしまい判断能力が不自由な人のうち、成年後見人制度を使っている方ですが、たったの2.3%です。

               参照 https://regards-service.jp/blog/2017/10/24/

2021年現在において、成年後見制度を利用している人は約24万人に過ぎず、潜在的な後見ニーズ(判断能力が不十分とみられる人の総数:推計およそ1000万人)のわずか2%を満たしているに過ぎないそうです。認知症の方100名いたとして、成年後見人制度を使っている方はたった2名しかいない、という統計になります。

なぜ成年後見人制度(法定後見制度)を使う人が少ないのか?

認知症の方は増えているにも関わらず、利用人数が少ないのはなぜでしょうか?私は以下の3つが原因だと考えています。

①高額なコストがかかる
②家族が後見人になれない(なれない可能性が高い)
③融通が効かない

①高額なコストがかかる

まず、コストの問題が大きいとおもいます。私も成年後見人の使おうかと検討したことありますが、成年後見人の申立てを家庭裁判所にした後に、後見人が選任されますが、弁護士や司法書士や行政書士が専任されます。その専門家の費用は毎月3万円〜5万円の専門家報酬を支払う必要があります。しかも認知症の方が亡くなるまで支払う必要があります。また一度、選任されるとその方が亡くなるまでこの専門家報酬を支払う必要があるんです。例えば、成年後見人で士業が専任されて毎月3万円の専門家報酬が必要になると年間36万円、認知症になった親が10年間生きたとしたら36万円×10年間=360万円ものコストがかかります。人生100年時代、長生きすればするほど、残される家族がきつくなります。まず、成年後見人となる専門家報酬の問題が一番大きいと思います。

②家族が後見人になれない


成年後見人となった専門家報酬がいるのは分かったけど、じゃあ家族が成年後見人になればいいと思うのですが、家族が成年後見人になれるとは限りません。家庭裁判所が成年後見人を選任します。家族がなりたい、といってなれません。家族が成年後見人になれる可能性は20%です。(任意後見制度の場合は認知症になる前に、親が後見人を指名することができます)
これはどういうことか?つまり家族を後見人にすると認知症の方のお金を使い込んだり、不正利用する人がとても増えたから、というのがその理由のようです。
最高裁の調査によれば、2010年6月から2012年9月までの間に発生した成年後見人による財産横領などの不正件数は898件にのぼり、被害総額は83億円と、非常に憂慮すべき状況であることが判明しました。不正件数のうち、98%は親族が後見人であったケースであることが明らかとなったそうです。
認知症の方の財産を守るために家族が後見人になったのに、その家族がお金を着服したというトラブルが続発して、家族は信用できない、という判断されてしまい、 現在では家庭裁判所が厳格に成年後見人の選任を行うようになったようです。少し残念ですが、仕方ないことかもしれません。

③融通が効かない


成年後見人はあくまで認知症本人の後見人であり、認知症の方にとって、メリットがあるか否かで、諸々の判断、処分を行います。例えば、認知症の方のお孫さんが大学に入学したのでお祝い金をあげるケースもあるかと思いますが、こういったお金の使い方もできなくなります。成年後見人である専門家が認知症の方の預金、不動産など財産を管理しております。お祝い金って認知症の方ご本人にとって、財産を減らすことになりますので、こういった使い方はできなくなるでしょう。同様の理由で結婚資金やマイホーム購入資金を子どもや孫にあげることもできなくなります。他にも例えば、認知症の方が収益アパートを所有していて大規模な修繕やリフォームをして、家賃収入を増やそうと家族が考えたとしても、できなくなります。入居者がいなくなって空室が目立つようになったとしても最低限必要な修繕しかできなります。このように成年後見人制度はあくまで認知症の方本人のための制度であり、その方の家族のための制度ではない、という事を理解しておくと融通が効かないという理由が分かるのではないかと思います。