遺産分割協議書をご自身で作る場合も、弁護士、司法書士、そして行政書士など専門家に任せる場合も以下の手順で遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書の流れ
①遺言書の有無の確認
②法定相続人の調査
③相続財産の把握
④相続人全員での遺産分割の話し合いと合意
⑤合意した内容を遺産分割協議書に記載
⑥相続人全員で署名、実印の押印、印鑑証明書取得
①遺言書の有無の確認
遺言書があっても相続人全員の同意があれば、遺言書とは異なる内容で遺産の分割をすることができます(民法908条)。ただし、遺言書があれば、その内容に従うべきだという相続人の方もいるかもしれません。まずは遺言書の有無を確認しましょう。
②相続人の調査
遺産分割協議書は相続人全員の合意、署名と押印が必要です。この全員というのがポイントです。例えば、亡くなった方に離婚歴があり、前妻との間に子供がいたり、亡くなった方が独り身で且つその方の両親も亡くなっていて、兄弟姉妹が相続人となる時は相続人の数が増えてしまい、相続が複雑になります。兄弟姉妹全員が存命でしたらまた良いですが、兄弟姉妹がすでに亡くなっており、その子が代襲相続しているとさらに相続人が増えます。相続人が増えるということが全員の合意がさらに大変になる、ということです。
また、相続人に認知症の方がいますと、そもそも遺産分割協議書はできなくなります。
③相続財産の把握
預金、不動産、株券、投資信託、貴金属、自動車、そして負債などを確認しましょう。
・預金:生前にある程度、確認できていることが多いと思いますし、金融機関に照会をかければ他に口座がないか確認してくれます。
・不動産:自宅をイメージすると一番分かりやすいと思います。亡くなられた方が、アパートや駐車場を経営している場合は相続人も把握できていると思います。また、不動産を所有している場合、固定資産税納付書が届いていると思いますので、そちらで確認することもできます。
・株券や投資信託:証券会社などから定期的に書類が届いていると思いますのでそちらを確認しましょう。ただ最近では株券などを紙ではなく、電子化して渡す場合も多くなってきていますので、紙としては存在しない場合も増えてきています。
・ローンや負債なども返済表など届いていると思いますのでそちらを確認することもできます。
いずれにしても普段から家族の財産を把握できるようにしておくことが大事ですね。
④相続人全員での遺産分割の話し合いと合意
相続財産の把握ができたら、相続人全員で誰がどの財産、そして負債を相続するのかを話し合いましょう。
なお、遺言書に財産の分配に関して書いてあってもその通りに財産に分ける必要はありません。また、法定相続分という分け方もありますが、その通りに財産分配する必要はありません。
⑤合意した内容を遺産分割協議書に記載
・合意した内容を遺産分割協議書に書きましょう。自筆証書遺言書と違ってパソコンで遺産分割協議書を作成しても有効です。遺産分割協議書の書き方は以下の内容になります。
・題名に「遺産分割協議書」と書く
・亡くなった方の氏名、本籍、住所を書く
・全ての相続人の氏名を書き、全ての相続人が誰がどの財産を取得するか合意したことを書く
・なお、遺産分割協議書の合意後に把握できていない財産が出てきた場合の対処方法を書いておくと改めて遺産分割協議書を作成する必要はありませんので書いておきましましょう。(例えば、後から財産(負債)が出た場合は誰が相続するとか、改めて相続人全員で協議するとか、です)
⑥相続人全員で署名、実印の押印、印鑑証明書取得
遺産分割協議書ができましたら相続人の人数分の遺産分割協議書を印刷して、相続人全員の署名、実印の押印、そして印鑑証明書を添付すれば遺産分割協議書の完成です。なお、遺産分割協議書が複数枚に渡る場合、割印や製本して割印することが必要です。少し面倒な作業ですが、遺産分割協議書は法的な効力のある書類なので、適切に作成しましょう。
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