時代遅れの技能実習制度の発展的解消

特定技能

技能実習(ぎのうじっしゅう)とは?

技能実習(ぎのうじっしゅう)制度は外国人が日本で働きながら技術を学ぶという1993年に創設された制度であり、発展途上国の人材育成という国際貢献として開始されました。なお、技能実習生は2022年度は33万人にいます。この技能実習制度ですが、現在は実習生としてではなく、実質的に労働者として扱われており、日本の深刻な人手不足という状態から、実態は受け入れ企業の労働力の確保という目的となっており、制度の目的と実態が大きく乖離してしまっていることにより、違法な低賃金、長時間労働、暴力はパワハラといった多くの問題が発生しました。また、失踪という問題も発生しており、2022年度に失踪した技能実習生の数は9000人にのぼります。

技能実習に代わる新制度の素案がまとめられる

本日(2023年10月18日)、外国人労働者(=技能実習制度)のあり方を議論する政府の有識者会議は技能実習制度に代わる新制度の案を示しました。
技能実習制度と新制度の違いは以下の通りです。

技能実習新制度
目的人材育成による国際貢献(時代遅れ)人材確保と人材育成
在留期間最長5年間基本3年(特定技能への移行で延長可能)
転籍原則不可(だから、劣悪な環境から逃れるため、失踪が増える)可能(条件1:一年超の就労実績、条件2:日本語能力検定N4合格)
日本語能力要件なし就労開始前に基礎的な能力が必要
特定技能への移行移行できない職種ありすべて移行可能
技能実習と新制度の違い

悪質な監理団体を排除する

監理団体は技能実習生を受入れ、その活動及び受け入れ企業へのサポート等を行う非営利団体です。
外国人実習生を受け入れたい企業の依頼を受け、技能実習生の募集、受け入れまでの手続きや現地での面接、そして受け入れ後は各企業が適正な技能実習を行っているかどうか、技能実習生をサポートする団体です。
技能実習生として、来日するためには監理団体に登録する必要があります。ただ、監理団体の中には適切な研修を受けさせない、聞いていた業種とは違う受入れ企業に送り込むといった監理団体を排除するため、監理団体の要件を厳格化することを検討しています。また、監理団体と受け入れ企業の癒着を防ぐため、受け入れ企業と監理団体の役員の兼務を制限することも予定しているようです。

外国人労働者の多額の負担を軽減する

外国人労働者は現地の人材派遣会社への登録料や研修費用などのために多額の借金を背負って来日するケースもあり、そのような多額の借金を背負わないように、受け入れ企業が来日前の一定費用を負担する仕組みの導入も検討されているようです。受入れ企業の負担も増えますが、優秀な外国人労働者を確保するためには必要経費とも言えますし、賃金未払いなど劣悪な環境の受入れ企業を排除する狙いもあるかと思います。

特定技能に移行すれば長期滞在が可能にする

新制度の最初の在留期間は3年間ですが、高度な技能試験に合格し、日本語能力検定試験のN4に合格すればなれば、同じ業務で「特定技能1号」の資格に移れる。さらに最長5年間働き続けられる。また、特定技能2号の試験に合格すれば在留資格の更新回数の制限はなくなるため、長期就労が可能になります。

新制度と特定技能の合わせ技で慢性的な人手不足も解消する

技能実習制度は国際貢献という名目から始まりましたが、事実上、日本の労働力不足を補う制度になっていましたが、新制度となれば、今以上に外国人も日本で働きたいと思ってくれるかもしれません。また、新制度から特定技能へ移行すれば、家族を呼ぶこともできますので、永続的に日本で働くことができます。そうすれば停滞している日本の経済も活性化するかもしれませんね。新制度は2024年1月の通常国会に提出されるようなので期待して注目したいと思います。

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