■動物取扱責任者とは?
ペットショップやブリーダー、トリミングサロン、ドッグトレーナーなど第一種動物取扱業を行う場合は、事業所ごとに動物取扱責任者を置くことが動物愛護管理法で定められています。また、動物取扱責任者は第一種動物取扱業の登録申請に必要な要件であり、独立した資格ではありません。詳しくはこちらの記事も合わせてご確認ください。
動物取扱責任者になるためには?ペットショップやトリミングサロンなど第一種動物取扱業を行う場合は、事業所ごとに動物取扱責任者を置くことが動物愛護管理法で定められています。ペットショップなどを開業しようとするときは、動物取扱責任者になることができる職員を探す必要があります。
■動物取扱責任者になるためには?
2020年(令和2年)6月以降の動物取扱責任者の選任要件は以下の【要件1】から【要件4】のいずれかを満たす必要がありますが、これから開業されようとする方は【要件4】の方、つまり「実務要件」と資格要件の2つを必要とする方も多いかと思いますが、今回の記事では【要件4】について詳しく書いてみようと思います。
【要件1】獣医師の免許を取得していること
【要件2】愛玩動物看護士の免許を取得していること
【要件3】(ア)と(イ)の両方を満たしていること(AND条件)
(ア) 種別に係る半年以上の実務経験 または 実務経験と同等の1年間以上の飼養経験
(イ) 種別に係る知識及び技術について1年間以上教育する学校等を卒業
【要件4】(ア)と(ウ)の両方を満たしていること(AND条件)
(ア) 種別に係る「半年以上の実務経験」 または「 実務経験と同等の1年間以上の飼養経験」
(ウ) 公正性、専門性のある団体が行った試験により資格等を得ていること
■半年以上の「実務経験」とは?
まず、実務経験は自分が開業しようとしている種別の業種での経験が必要です。「種別に係る」の「種別」とは、ペットショップやブリーダーなら「販売」、トリミングサロンやペットホテルなら「保管」、ペットホテルやペットサロンを兼ね備えたペットショップであれば「販売」と「保管」といった具合です。
なお、東京動物愛護相談センター(東京都23区地域)では、実務経験は自己申告制で、特に勤務証明などは不要とのことです(2024年11月時点)
もちろん、自己申告制だからといって、虚偽申告はダメです。後々に免許剥奪要件になり得ますし、東京都動物愛護相談センターでも「実在している店舗なのか、その店舗は第一種動物取扱業、第二種動物取扱業の免許を取得しているのかの確認やその店舗への照会をします」とのことですので。なお、この内容はあくまで「東京都23区」での第一種動物取扱業の免許に関する内容になります。各自治体によって「実務経験」の定義は若干、異なりますので、各自治体の動物愛護センターへのお問い合わせが必要です。
■「実務経験と同等の1年以上の飼養経験」とは?
次に「実務経験と同等の1年間以上の飼養経験」とはどういう意味でしょうか。
実務経験は分かりやすく言えば、正社員として勤務している状態です。ここでいう「実務と同等の1年間以上の飼養経験は「アルバイトやボランティア」を想定しています。また、東京都23区の場合、別途、勤務証明書が必要になります。
また、東京都23区ではその飼養経験として認められる期間は240日間と定めています。1年間で240日間という意味ではなく、累計の勤務日数となるようです。仮に2年間でこの飼養経験を得ようとすると240日÷24ヶ月=1ヶ月あたり10日間。週に2日ないし3日の活動(アルバイトorボランティア)になるということですね。土日にアルバイトをした場合、2年とちょっと必要になる計算になりますね。本業をお持ちで、副業などで飼養経験を得ようとする方には少し厳しい話になるのかもしれません。
また、動物取扱責任者として登録に必要な申請書類を提出しても、必ずしも認められるかどうか分かりません。というのは、東京都23区の場合、認定するかどうかの判断が入るからです。役所側に裁量の余地があるというのは曖昧な基準になりますが、資料だけ整えて提出するような悪質な業者を排除するためのセーフティーネット、ネガティブチェックだと思われます。
従いまして、ペット関連ビジネス開業を考えている方は、最初は動物取扱責任者の資格を持っている方を雇用して、自らはその開業したお店で実務経験を得て、動物取扱責任者の資格を得ることも十分に選択肢になりそうです。
第一種動物取扱業や動物取扱責任者の要件は、悪質な業者や違法な業者を排除するために開業要件を厳しくしているとも言えますので、仕方のないことかもしれません。
その他に注意するべき点は?
当たり前かもしれませんが、実務経験や飼養経験を得ようとするために働こうと思っている店舗(会社、個人事業主に関わらず)が体裁上はペットホテルを併設したペットショップであっても、その店舗が第一種動物取扱業の「販売」の免許しか持っていない場合、その店舗での実務経験や飼養経験は「販売」だけになります(本来であれば「販売」と「保管」の種別の実務経験が得られるはず)
第一種動物取扱業の免許そのものを持っていない場合(いわゆる無免許の違法な店舗)、その店舗で働いたとしても、そもそも実務経験、飼養経験を得ることはできませんので注意が必要です。
なお、実務経験、飼養経験を得た後であれば、その店舗が摘発されたり、免許をはく奪されたとしても、その実務経験、飼養経験は有効です。
最後までお読みいただきありがとうございました!