ペットとの触れ合いで病気を治す
動物との触れ合いやペットを飼うことで心が落ち着いたり、ストレスが軽減することがあります。私も16歳になる老犬を飼っていますが、一緒に散歩したり、撫でたり、話しかけることで気持ちが穏やかになります。こうした動物を通した癒しがアニマルセラピーです。アニマルセラピストとは、動物と触れ合うことで人を癒すアニマルセラピーを行う職業です。海外ではペットを飼うことによって医療費が削減できているというデータがあり、ドイツでは7500億円、オーストラリアでは3000億円の医療費がペットを飼うことよって軽減されているそうです。また高齢者や障がい者施設でも、犬や猫などと触れ合うことで会話や笑顔が増えて、表情が豊かになるなどその効果が高く評価されています。このようにペットを高齢者施設や障がい者施設に派遣したり、犬カフェや猫カフェのように犬や猫との触れ合いを目的としたお店を開いたりといったニーズが高まってきています。
ペットを飼うと認知症予防になる?
ペットを飼うことや動物と触れ合うことは認知症予防に有効であるとも言われています。
実際に犬を飼っている高齢者は飼っていない人と比べて認知症を発症するリスクが40%軽減していたとする研究成果を東京都健康長寿医療センターが発表したそうです。(NHKニュース「イヌ飼育の高齢者 認知症発症リスクが40%低下の研究結果」)
確かに犬をお世話することで散歩の習慣が身に着いたり、飼い主同士の会話で社会とのつながりが生まれやすくなることが認知症になるリスクを軽減している可能性があると言えそうですね。また、認知症予防において適度な運動や人との積極的な交流、趣味を持つこと、バランスの取れた食事などがあげられますので、犬をお世話することではそれらにつながる要素が含まれていますね。一方で猫を飼っていても認知症発生リスクは軽減されないそうです。確かに猫は散歩しないので、外に出る機会は増えないですよね。
1.アニマルセラピー開業に必要な資格や許可
アニマルセラピーを開業するには第一種動物取扱業への各都道府県への登録(許可)が必要です。第一種動物取扱業は次の7つの業種に分かれています。アニマルセラピーはこの中で「③貸出し」もしくは「⑤展示」の登録(許可)となります。
■第一種動物取扱業
①販売:ペットショップ
②保管:ペットホテル、ペットシッター、ペットサロン
③貸出:ペットレンタル、撮影モデル派遣、(アニマルセラピー)
④訓練:動物訓練、調教業者
⑤展示:動物園・水族館、乗馬施設、アニマルセラピー
⑥せり、あっせん:動物オークション
⑦譲受飼養業:老犬老猫ホームなど
例えば、高齢者施設や障がい者施設に認知症軽減のために動物を派遣するようなビジネスを考えた時には「③貸出し」の登録が必要になりますし、犬や猫との触れ合いを目的とした犬カフェや猫カフェを開業しようとすると「⑤展示」の登録が必要になるといった具合です。
第一種動物取扱業であるアニマルセラピーを開業する前に動物愛護センター(東京都だと東京都保険医療局 東京都動物愛護相談センター)に「③貸出」もしくは「⑤展示」の登録を受ける必要があります。ただ、非営利で犬や猫などを高齢者施設や障がい者施設へ派遣したり、犬や猫などの触れ合いの催しを行う場合は第二種動物取扱業の「届け出」が必要になります。第一種動物取扱業の詳しい内容はこちらの記事をご参照ください。
2.動物取扱責任者の選任
第一種動物取扱業の登録申請する際に、事業所ごとに常勤の職員の中から動物取扱責任者を選任する必要があります(動物取扱責任者の詳しい内容はこちらの記事をご参照ください)
3.第一種動物取扱業の登録申請
アニマルセラピーは「貸出し」「展示」にあたるため、以下の書類が必要になります。
①第一種動物取扱業登録申請書
②第一種動物取扱業の実施の方法
③「動物の愛護及び管理に関する法律」第12条第1項第1号から第6号までに該当しないことを示す書類
④( 飼養施設を有する場合 )飼養施設の平面図及び飼養施設の付近の見取図
⑤( 申請者が法人の場合 )登記事項証明書、役員の氏名及び住所
⑥事業所及び飼養施設の土地及び建物について事業の実施に必要な権原を有することを示す書類
⑦動物取扱責任者研修の修了証の写し
⑧犬猫等健康安全計画(犬猫等販売業者に限る)
⑨ケージ等の規模を示す平面図・立面図(犬猫を取り扱う事業者に限る)
4.アニマルセラピストの特徴
①資格は不要
アニマルセラピストには特に資格は不要です。ただし、何か動物関連の資格を持っているとお客様の信頼度が上がりますので、何か資格は持っておいた方がベターです。オススメの認定資格は愛犬飼育管理士と愛玩動物飼養管理士です。愛犬飼育管理士の合格率 80%~90%(2020年度)で費用も17,700円、愛玩動物飼養管理士2級は合格率85%(2020年度)で費用も40,000円です。動物取扱責任者の要件として認められている資格でもあります。
②多様な活動領域
アニマルセラピストは高齢者施設、医療機関、教育現場などで活動します。各場面に応じた知識が必要で、動物介在活動や療法、教育を通じて人々をサポートします。特に高齢者施設では認知症の軽減のため、アニマルセラピーを導入している施設もあります。また、餌やおやつを与えたり、名前を呼んだり、話しかけたり、体や頭をなでたり、散歩したり、と癒しや情緒の安定、健康の促進につなげている施設もあるそうです。
③アニマルセラピーにむいている動物
◆犬:最も活躍している動物です。施設や病院を中心に全国で行われているアニマルセラピーのほとんどは犬が活躍しています。盲導犬や警察犬もしかりですね。犬はしつけがしやすく、ヒトと一緒にいることを好むためにアニマルセラピーに向いていますね。
◆猫:人懐っこく甘えん坊な性格をしている猫もアニマルセラピーの現場で活躍しています。撫でられる心地よさを、ゴロゴロと喉を鳴らして伝えてくれるのも相手にとっては嬉しいものです。ただし、ヒトに寄り添うことを好まない猫も多いので注意が必要です。
◆ウサギ:「ウサギは寂しいと生きられない」と言われますが、そのような繊細なウサギを守ってあげようと思う気持ちは精神的な安定や生き物を大切にする心を育む効果があると言われています。ただし、ウサギは環境の変化や温度、音などのストレスに弱い動物なので、十分な体調管理が必要です。
◆その他:馬(馬に乗ることで馬のぬくもり、振動などが良い刺激となり、安心感が得られたり、ストレスが軽減されると言われています)、イルカ(健常者と障害を持つ人を見分けることができると言われています)もアニマルセラピーに適した動物です。
④アニマルセラピーの将来性
アニマルセラピーは犬や猫などの動物との触れ合いを通じてリラックス効果や安らぎ効果で心の治療を行っていきます。ドイツやアメリカなどは一般化しているそうです。日本の医療分野や介護分野でもアニマルセラピーを取り入れている事業所、取り入れようとしている事業所も増えてきています。2007年に人口の約5人に1人が65歳以上となった超高齢社会に突入した日本にとって、アニマルセラピストはまさに「医療、介護」をはじめ、「教育」などさまざまな分野で活躍の見込みのある将来性のある職種のひとつだと言えると思います。
5.第一種動物取扱業の申請手数料(東京都の場合)
手数料は1種別につき15,000円です。ただし、同時に申請する場合の手数料は以下のとおりです。
・ 2種別同時申請 計25,000円
・ 3種別同時申請 計35,000円
・ 4種別同時申請 計45,000円
・ 5種別同時申請 計55,000円
6.第一種動物取扱業の申請は窓口申請のみ
動物愛護相談センター本所( 世田谷区 )及び多摩支所( 日野市 )の窓口でのみ受け付けています。郵送など他の方法では登録申請を受け付けることができませんので、ご注意ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。