動物愛護管理法ってなに?
動物愛護管理法の正式名称は「動物の愛護および管理に関する法律」です。もともと1973年に議員立法で制定された法律で1999年、2005年、2012年、そして2019年に法改正が行われました。特に2019年(令和元年)に成立した改正法では、大幅な罰則強化(犬や猫を殺傷した時の懲役2年以下→5年以下、罰金200万円→500万円に拡大)、生後56日以内の犬や猫の販売禁止、犬や猫に所有者の情報を記録したマイクロチップの義務付け等がなされ、2022年6月に改正法全体が施行されました。
「生類憐みの令」に似ている?
動物愛護管理法は徳川幕府5代将軍の徳川綱吉が発布した「生類憐みの令」に似ているのかもしれません。生類憐みの令は天下の悪法として有名ですが、犬や猫だけではなく、捨て子や病人の保護が目的だったそうです。当時の日本は貧しい家庭が多く、人が捨てられたり、殺されたりしていました。それを防ぐために発布されました。犬だけではなかったのですね。また、当時の江戸の町には野良犬がたくさんいて、人を嚙んだり、捨て子を食べたりしていました。そこで綱吉は人を噛まないように野良犬(10万頭以上)を収容したりもしていたそうです。
動物愛護管理法の概要
動物愛護管理法の基本原則は、すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。
①動物の飼い主等の責任
動物が人の生命に害を加えたり、迷惑を及ぼすことのないように努めたり、みだりに繁殖させないように不妊去勢手術等を行ったり、動物の所有情報を明らかにするためにマイクロチップの装着、所有者情報の登録等を義務化しました。
②動物の飼養および保管等に関するガイドライン
家庭動物、展示動物、畜産動物、実験動物のそれぞれについて、動物の健康と安全を確保するとともに動物による人への危害や迷惑を防止するための飼養及び保管等に関する基準を定めています。また、動物の科学的利用に関しては3Rの原則「①動物の苦痛の軽減 (Refinement)、 ② 使用数の減少 (Reduction)、 ③ 代替法 の活用 (Replacement) 」の3つの原則を定めています。
③動物取扱業者の規制
第一種動物取扱業者(動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で業として行う者)は、都道府県知事又は政令指定都市の長の登録を受けなければなりません。登録を受けた動物取扱業者には、動物取扱責任者の選任及び都道府県知事等が行う研修会の受講が義務づけられています。また、都道府県知事又は政令指定都市の長は、施設や動物の取り扱いについて問題がある場合、改善するよう勧告や命令を行うことができ、必要がある場合には立入検査をすることができます。また、飼養施設を設置して営利を目的とせず一定数以上の動物の取扱いを行う場合については、第二種動物取扱業者(動物の譲渡し、保管、貸出、訓練、展示を非営利で業として行う者)として、都道府県知事や政令指定都市の長に届け出なければなりません。
④周辺の生活環境の保全
多頭飼育による不適正な飼養によって、糞尿被害、悪臭、騒音などで周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている場合、都道府県知事又は政令指定都市の長は、その事態を引き起こしている者(飼い主等)に必要な措置をとるように指導、助言、勧告や命令を行うことも定められています。
⑤危険な動物の飼養規制
国が定めた危険な動物(虎、熊、ワニ、マムシ等約650種)などは2020年6月から愛玩目的で飼養ができなくなりました。動物園や試験研究等で飼う場合は、法律に基づき都道府県知事又は政令指定都市の長の許可を受ける必要があり、動物が脱出できない構造の飼養施設を設けるなどして、事故防止を図らなければなりません。
⑥犬及び猫の引き取り等
都道府県、政令指定都市は、犬や猫の引取りを行うとともに、道路、公園、広場、その他の公共の場所において発見された負傷動物等の収容を行います。なお、犬や猫の引き取りの70%~90%は所有者不明のため、マイクロチップ装着が義務付けされたのも納得がいきます。また、犬や猫の引き取り数も1974年度 125万頭から2021年度 6万頭に減っていますが、それでも6万頭もの命が殺処分されている現状を見過ごすわけにはいかないと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました!